友達づくり、友達探しHappyWinkingLaugh

50代、60代になると、一般的にはそろそろ終の住処を探そうかな、となる様子。年代的には我々夫婦はそのど真ん中なのだが、既に終の住処にいる。30代、40代というまだ現役のうちに、一足早く、先を考えた終の住処作戦を実行に移したということになるだろうか。

我々夫婦と同年代の友人カップルも多くいる。会社勤務型もいるが、多くはフリーランス。少しずつ仕事を減らし、あちこちで高尚な趣味にお金を投じ、終の住処も少しずつ考え始めたカップル。既に巣立った子供達が住むいくつかの国、また友人たちが移住した国々を、夫婦揃って訪ね歩きながら終の住処を考え中のカップル。昨年の震災がきっかけとなり、何十年という東京住まいに別れを告げようと決め、今後5年計画で奥さんの故郷に移住しようと考えているカップル。

数年前、毎月遊びにきていた友人カップルがいた。大都会に住む彼ら。一方のこちらは大自然。360度完全に自然界パノラマという光景は東京人の彼らにとっては新鮮であり癒しであっただろう。また、終の住処としても一考の価値大いにありと見ていたことは間違いないと推測される。

しかし、彼らが足しげく通い続けてくれたのは、我々夫婦を慰める意味もあった様子だ。慰める?えっ?は?である。だが彼らとしてはこういうことのようだ。つまり、こんな片田舎でしかも隔絶された僻地に住む私たちは、さぞや寂しい思いをしているに違いない。遊びに来いと誘いをかけてくる理由も、このように刺激も何も無い自然の中にいるからであり、絶対に退屈しているに違いない、と。・・・(笑)(笑)(笑)。

終の住処候補としてこの地を提案をしたことは事実だし、泊まりがけ訪問に誘ったことも事実。だが、「遊びにいっていい?」と打診してきたのはどちらかというとほとんどがあちら側からであった。且つ、我々夫婦はちっとも「ロンリー」ではないし、「ボーリング」でもない(笑)。実際のところ、家にいる事に退屈し、スカイプや電話で話しかけてくるのは「東京人」であり、こちら側からかけたことは無かった。タイミングとしては、仕事が一段落した後、台風や大雨などの悪天候で家にいるしかない時が多い。しかも、「なんかつまんなくて」と開口一番(笑)。悪天候の際は読書をしたり衛星放送の映画でも見たりしているし、悪天候後は落ち葉や枝のレーキングに忙しい。仕事が一段落していたら、これまた庭回りの仕事をしようか、ということもある。時間が許すなら天候や仕事の有無に関係なく、自然に耳を傾けたり、美しい眺めに見入っていたりと、これらがこういうのどかな場所にいるということそのものの意義だと感じる。こうなるとスカイプをしている暇は案外無いのが実情だし、こちらからスカイプをしようかと思う事はない。ロンリーなのは都会人の方のようだ。事実関係が逆なのにそれに気づかないのも笑える話だが、その心理も面白い。一見、田舎の方が「空虚」を感じさせるのかもしれないが、私たち夫婦の友達たちに限っては逆の現象が起きている。遊ぶ場所には事欠かず超刺激的な都会が大好きと思っている人たちは、案外自分の「ロンリー」感に気づかずにいるのかもしれない。

ただ、終の住処を探し始めた比較的仲の良い友達カップルたちがこの地を選んでくれたらいいのになぁと思うことはある。選ばれなければ多少のロンリー感を抱くことは間違いない。友人カップルたちの終の住処探しは、夫と私の会話の中によく出てくるようになった。

会社勤務であろうとフリーランスであろうと、年齢とともに仕事の量は減り、老年期と向き合うことになる。老年期とは、夫婦が向き合う長い期間と同義語だろう。子どもがいるカップルも例外ではない。子はいずれ巣立つ。それはまた夫婦2人での暮らしを意味する。子どもがおらず元々夫婦2人だけの生活を長く続けているカップルの方が老年期の向き合いにはスムーズに入れる気がする。却って子どもがいるカップルの方が、急に2人だけになったような新局面に戸惑うのではないだろうか。

バブル経済の頃、「成田離婚」という言葉が流行した。子供の結婚式後、ハネムーンに出る2人を成田空港まで見送った直後の両親の離婚。新婚カップルがハネムーンから戻った後で離婚を考えるというテレビドラマがあったため、成田離婚を混同することがあったが、元々は「両親の離婚」を意味したものである。両親といっても、離縁状を突きつけるのは妻側(母親側)からだ。会社人間だった夫(父親)の実質家庭不在。夫婦らしい会話もないままに何十年もカタチだけ連れ添った妻は、定年退職した夫と毎日顔を合わせて生活することに耐えられない。そして妻の決意は、子供が結婚するまでの我慢であり、成田でその憤懣を爆発させ、離婚届を手渡す。青天の霹靂の夫。退職金、或いは家、或いは両方を妻がもらうというのが成田離婚の定番。バブル期が過ぎ、不況が続く今の成田離婚はどうなのだろうか。離婚したくてもできない現実があるかもしれない。それはそれで悲劇。仕方なしに生活を共にする夫婦。考えただけでも辛そう。

フリーランスの夫と私。子供無し。これからもこれまでのように2人で向き合っていくことを考えるととても楽しくなる。我々夫婦はお互いをベストフレンドと思っている。それでも、好きな仲間たちがこのエリアに移住してくれたら、カップル同士の語らいが増え、また女同士、男同士など、色々な交流が楽しめるに違いない。幸い、私たち夫婦の友達カップルに不仲はいない気がする。子供がいるカップルでも成田離婚系はいないように思う。一刻も早く、彼らが納得できる終の住処を見つけられるように願っている。